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こんにちわ♪

こんにちわ♪

獣医赭鞭一撻

獣医赭鞭一撻(しゃべんいったつ)

牧野富太郎博士の『赭鞭一撻』を自分の立場に置き換えて、少しアレンジしてみました。


牧野博士のを引用したため、まだ未完成です。

訂正を思いつくたびにしていきたいと思います。


初心を忘れぬようがんばりたいと思います。




牧野富太郎博士の墓

故・牧野富太郎博士のお墓。日暮里・谷中墓地にて。




一 忍耐を要す
何事においてもそうであるが、獣医療は、ちょっと見で分かるようなものではない。そして動物を相手にするこの仕事に忍耐は必須である。行き詰まっても、耐え忍んで研究を続けなさい。



二 精密を要す
診察にしても、検査にしても、治療にしても、症例報告にしても、不明な点、不明瞭な点が有るのをそのままにしてはいけない。いい加減で済ます事がないように、とことんまで精密を心がけなさい。



三 症例の博覧を要す
できるだけ多くの患者(動物)を診察しなさい。そうしないで、少しの経験、技術で済まそうとすれば、知識も偏(かたよ)り、不十分な成果しか上げられない。そして何より向上がなくなってしまう。



四 書籍の博覧を要す
書籍は古今東西の学者の研究の結実です。出来得る限り多くの書を読み、自分自身の血とし肉とし、それを土台に実践、研究しなさい。更に洋の東西を問わず、獣医学に関連した書物は読みなさい。先人たちの功績を読むことによってこれからの医療に繋がるからです。



五 獣医学に関係ある学科は皆学ぶを要す
獣医の学問をする場合、語学(ラテン語、英語)、物理学や科学(例えば薬品の化学式や顕微鏡、レントゲンそのほか器具の構造の把握)、数学(疫学の統計計算)、動物学(動物の種類、分類、生態)、地理学(どういった環境にどのような生物が生息しているか)、農学(飼料作物との関係)、植物学(薬用植物との関係)、畜産学(獣医学と密接に関係)、画学(動物画を描く場合)、文章学(論文を書く能力)、教授法(インフォームド・コンセントや後継の獣医師への教授)、PC操作(現代社会では不可欠)、心理学(動物心理)、など、獣医学とは程遠いと思われる学問についても勉強しなさい。



六 自然に逆らう事なかれ
野生動物は野生であり、医療行為は『反野生』の行為になります。野生動物を治療する事は彼らを野生から離す行為となるのです。獣医療は、決して動物のためにあるわけではなく人のためにあります。野生動物に野生でいて欲しければ獣医は出来るだけ野生動物とは、関わる事を避けるべきなのです。
野生動物に治療は必要ありません。野生動物に治療を施したとき、それはその時点で『野生動物』ではなく『飼育動物』となってしまうのです。



七 仁の心を忘れるべからず
医術は仁術であって、算術であってはいけません。特に獣医師は仁術を忘れたとき『獣』しか残らなくなります。仁の心を忘れてはなりません。



八 宜(よろ)しく師を要すべし
獣医療について疑問がある場合、動物の診察だけで答えを得ることはできません。誰か先生について、先生に聞く以外ありません。それも一人の先生じゃ駄目です。先生と仰ぐに年の上下は関係ありません。分からない事を聞く場合、年下の者に聞いては恥だと思うような事では、疑問を解くことは、死ぬまで不可能です。



九 りん財者は獣医学たるを得ず
以上述べたように絶対に必要な書籍を買うにも、(顕微鏡のような)機械を買うにも金が要ります。けちけちしていては獣医師になれません。




十 跋渉(ばっしょう)の労を厭ふなかれ
獣医療のためにジャングルへ赴くのも、サバンナへ出かけるのも、怠ってはいけません。患者は場所を選びません。しんどい事を避けては駄目です。




十一 病院(またはラボ)を有するを要す
自分の病院もしくはラボを持ちなさい。身近で始めて診察、治療をすることが大事となります。必要な道具も勿論です。




十二 博く交を同士に結ぶ可(べ)し
獣医療を学ぶ人を求めて友人にしなさい。遠い近いも、年令の上下も関係ない。お互いに知識を与えあう事によって、知識の偏(かたよ)りを防ぎ、広い知識を身につけられます。




十三 迩言(じげん)を察するを要す
職業や男女、年令のいかんは獣医知識に関係ありません。民間療法、治療薬など、彼らの言うことを記録しなさい。アフリカ人やフィリピン人の言う、ちょっとした言葉を馬鹿にしてはなりません。




十四 書を家とせずして、友とすべし
本は読まなければなりません。しかし、書かれている事がすべて正しい訳ではないのです。間違いもあるでしょう。書かれている事を信じてばかりいる事は、その本の中に安住して、自分の学問を延ばす可能性を失うことです。新説をたてる事も不可能になるでしょう。過去の学者のあげた成果を批判し、誤りを正してこそ、学問の未来に利するでしょう。だから、書物(とその著者)は、自分と対等の立場にある友人であると思いなさい。更に教わるだけの知識では治療できない事がたくさんあります。そして大学などでは教える事のない技術などもたくさんあります。いつでもそれを念頭において技術の精進に心がけなさい。




十五 造物主あるを信ずるなかれ
神様は存在しないと思いなさい。学問の目標である真理の探究にとって、有神論を取ることは、自然の未だ分からない事を、神の偉大なる摂理であると見て済ます事につながります。それは、真理への道をふさぐ事です。自分の知識の無さを覆い隠す恥ずかしい事です。











その他に、『獣医の心得』というのもあるので載せておきます。





 獣医師の心得集   

患者にとってよい獣医師とは
1.患者の症状を詳細に聞きそれをカルテにきちんと記録する獣医師

2.病気や検査の内容、薬の特性などについて自分から懇切丁寧に説明する獣医師。

3.患者からの質問に丁寧に答えかつ質問しやすい雰囲気を与える獣医師

4.飼い主や家族の意向に常に気を配り、治療方針をわかりやすく説明する獣医師。

5.自分の専門外の事態に直面したときは他の獣医師はもちろん他の病院の獣医師にも相談したり紹介する獣医師

6.診察後、患者に安心感を与えほっとした気分にさせられる獣医師。

7.わからないものはわからないという獣医師


獣医師は、軽症か、重症か、重体か 危篤か、その見極めが病名をつけるよりも重要な仕事であり、それにより同じ病気でもその後の対処方はまったく違ってくる。

飼い主の話を良く聞き、動物の表情、行動をよく観察し、体を触りながらよく診察すれば、大方の病気は診断できるものである。

あなたが診ようが診まいがほとんどの外来患者の病気は治るものである。決して治癒が遅れるような治療をしてはならない。

質問には3つの答えしかない。1、わかりません  2、わかりませんが推測ではこうです。3、わかります。

できないものはできない。わからないものはわからないといいなさい。

優れた獣医師は自分が何を知らないのかを知っている。



あなたの治療で状態が改善しないからといておこってはならない。飼い主の態度が気に入らないからといって怒ってはならない。患者に対して怒ってはならない。もしそうしたいと思ったときは誰かにたすけを求めなさい。



他の獣医師やナースとよい信頼関係が築けなければ、やはり患者ともうまくいかない。それは診療以前の問題でありあらゆるチームワークの基本である。



治療がうまくいくかどうかは、薬や治療法と同じくらい、飼い主があなたを信頼するかどうかにかかっており、信頼されるかどうかはあなたの性格や品性にかかっている。


言葉はわれわれにとって医療行為と同様にもっとも重要な治療手段のひとつである。その重要性を認識し、賢明な使い方ができるように、努力しなさい。


治療や診断にミスを犯したときは,飼い主に真実を伝えること。飼い主に詫びミスの結果何が起こるかについて説明しなさい。ミスの大小にかかわらずそうしなさい。


普通患者がうらみに思うのは、最初に犯したミスにたいしてではなく更にミスを重ねたことに対してである。


普通患者がうらみに思うのは、犯したミスにたいしてではなくミスを隠したことに対してである。


獣医学に生涯をささげ、命を守るという強固な気持ちがなければ、そして診療を進んでやりたいと思わないようなら、最初から臨床の道には進まないほうがよい。それは患者を苦しめ、そしてあなたも苦しむことになる。


飼い主の中には頭の回転が速いものも遅いものもいる。あなたのほうでそのペースに合わせなさい。


患者に話すのではなく患者と話すこと。


もとの道に這い戻れるだけの大きさの診断上の逃げ道は常に作っておくこと。


診断に間違いないと思ったときほど、診断が間違ったときのことをよく考えておくこと


痛むと思われる部位の診察は必ず手を当てて行ないなさい。エックス線検査はそのあとです。


痛むと思われるときは必ず歩かせて診察しなさい。エックス線検査はそのあとです。

痛む関節の診断は痛む関節だけを動かしてみないと分からない。

かゆみを主訴としている患者の局所治療はやりすぎると掻いたりかんだりしてかえって悪化させることがある。まずかゆみと炎症を取る治療を優先すること。

飼い主は往々にして痛む反対の足が悪いというものです。飼い主の診断を鵜呑みにしないこと。

血液検査や、尿検査の結果で、病気の動物と健康な動物の鑑別をすることは不可能である。

治療を行なうにあたっては、経過観察の指標となる異常所見や検査値がなくてはならない。測定可能な異常所見や検査値を探し指標としなさい

病気とは動物の生理的な働きに異常が起こり苦しむ状態を指し、検査結果の異常値を示すものではない。その診断は獣医師が行なうものであり検査器械が行なうものではない。検査は病気を発見するためのものではなく、治療を行なうための指標として行なうものであることを胆に命じること。

患者が自分の動物が病気であるというときは、まず間違いなく病気である。決して異常がないとはいってはならない。

触診で忘れがちなのは普段は触れないリンパ節、必ず探す努力をしなさい。

横たわってしまった動物は助けられないことが多い。
下痢よりも吐いている動物の方が重症であることが多い。
呼吸が速い動物は重症であることが多い。
体重が急激に落ちている動物は重症であることが多い。

鑑別診断リストに入っていない病気を診断することはできない。普段から鑑別診断リストに病気を漏らさず上げられるよう訓練しなさい。 

薬の変更は1種類ずつ行なうこと。

症状があるといっている飼い主に「この動物はどこも悪いところはありません。」といってはならない。それは飼い主を傷つけ、侮辱し、そしてあなたへの信頼感を著しく落とすことになる。

獣医師であることにほこりを持ちなさい。しかし高慢になってはならない。

薬についての情報は、もっぱら、製薬会社のセールスマンを介して得るということのないように。

獣医師としてのあなたにおべっかを使う患者、とくにそのような初診患者には要注意。

他の獣医師の批判を行う患者、とくにそのような初診患者には要注意

他のことをしながら患者の話を聞いてはならない。

出会うすべての人を尊敬しなさい。特に病院で縁の下の力持ちになっている人々を、そのような人々がいてあなたは獣医師として仕事ができるのだから。

あなたが医学や獣医学についてたくさんの知識をもっているからといって、人生や人間や動物ついて豊富な知識があることを意味するものではない。他の人々や患者からも学ぶことは多くある。

出会った動物と飼い主そしてともに働く人々、すべてから何かを学ぶこと

動物を大事にしない獣医師、飼い主の心がわからない獣医師はけっして良い獣医師にはならない。

将来開業医になりたいと思っている獣医師は、開業前に狭い分野について深く勉強しなさい。そうすれば科学的知識の重要性がわかるはずである。

検査はライフルのように使うべきでショットガンのように使わないこと。つまり1度にひとつずつ正確に用いること。

他人の行動が気に入らないときは、自分の行動を変えるよう考えなさい。

どうしてよいかわからないときは、何もしないか、わかる人を探すこと。

扱いがたい患者がいるなら、扱いがたい獣医師もいる。このことは避けがたい事実です。

患者に「心配ないですよ」とけっしていってはならない。

ナースに親切にしなさい。彼女もあなたに親切にするでしょう。

人間にはバランスが必要である。獣医学以外の趣味や興味を追求しなさい。

三回やってうまくいかないものは、それ以上やってもうまくいかない。

時にお世辞を使えば扱いがたい患者の敵意を消失させ見方にすることができる。

あらゆる手技は外科医の予測以上に時間がかかり予測以上に道具が必要になる。余裕を持って手術をすること

効果的なコミュニケーションの第一歩は、相手の注意を十分にひきつけることである。そのためには、長い沈黙が必要になることがある。

器具を投げてはならない。手が使えないとき以外は足を使って済ましてはならない。

動物を保定するときは、声をかけ、やさしくしかもしっかりと保定しなさい。動物が暴れるときも決してこころにやさしさを忘れずに。

専門医があなたに言ったことを患者に伝える前に患者に専門医がなんと言ったかをたずねなさい。そうすることにより、あなたも患者も多くの混乱と説明の重複を避けることができる。

患者の秘密を厳守する。

いかなる強圧にあうとも、人道に反した目的のために知識を悪用しない。

獣医大学のカリュキュラムは人格形成や道徳について学べるようにつくられたものではない。精神や人の道は各自で鍛えなさい。

動物に薬のませられない飼い主は多くいる。薬のませられない飼い主にいくら薬を処方してもよくならない。他の方法を考えなさい。

人にはいろいろ考え方がある。飼い主が欲していることに耳を傾け、それが人道的であるならば、なるべくその意に添った治療をするよう心がけなさい。

整理整頓ができていない医療機関によい医療はありえない。常に環境を整えると同時に何がどこにあるか常に把握すること。

診療室 治療室内には私物を置かないこと。そしてつかったものは必ず元の位置に戻すこと。ちょっとした気の緩みが、必ず事故を招くことになる。

 ドクターらしい態度や服装、身だしなみ、言葉使い、衛生観念,道徳は、あたりまえのことで、これさえもできていない獣医師を患者が信頼するはずがない。

常に周囲の流れに気を遣い、現在の状況を把握分析し、先回りして行動することができれば、獣医師として、人間として、そして社会人として大成するであろう。



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